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八犬伝第六輯有序

 

予所著八犬伝一書、此秋夕冬夜戯墨。曩謬為書賈山青堂所刊布。雖未足使楮価踊貴。而於書賈頗有羸余焉。旦暮以此為揺銭樹云。自是之後、屡〃続稿、而至第五輯。時山青堂耽於他事乃不果。俛仰之間、光陰荏苒、越歴四五年矣。今茲書肆涌泉堂、購得前書刻版、又揣刻。一日令山青堂為介、告諸予乞代続梓。誅求数四、諄諄不已。予為其言有理、漫然頷之、将創余稿以充銷夏之料。然無有宿構也。偶〃其所有、皆忘之矣。因沈吟構思、然後費燈油者、毎夜一二盞。漸費至一二升、則稿了一巻、弥〃費■シンニョウに台/斗許之夜、稿了者総五巻。其第五巻楮数最多。遂釐之以為二本。編纂共六本、手稿竟完矣。輒授之于涌泉堂、以登於梨棗。其書画二工依故、出像則柳渓二子所画、浄書乃田谷両筆録之。閲五六月、而書画尽成。嗚呼涌泉堂性太急、自克促工、而無虚日。及■厥にリットウ/人告成。又乞顔予之自序於簡端。業在倉卒際、不遑含毫且回思。即便述本輯稍久而出世趣、代序以塞其責。

 

文政九年菊月中澣書于著作堂雨■片に聰のツクリ/

 

曲亭■虫に覃/史

 

予の著す所の八犬伝の一書は、此{これ}秋夕冬夜の戯墨たり。曩{さき}に謬{あやま}りて書賈山青堂の刊布する所と為る。いまだ楮価をして踊貴たらしむるに足らずといえども、書賈に頗{すこぶ}る羸余あり。旦暮、此を以て揺銭樹なりと云う。是よりの後、屡〃稿を続け、しこうして第五輯に至れり。時に山青堂は他事に耽りて、乃ち果さず。俛仰の間、光陰荏苒し、越{ゆう}に四五年を歴{へ}たり。今茲、書肆涌泉堂が前書刻版を購{あがな}い得て、また刻むを揣{はか}り、一日山青堂をして介とし諸を予に告げて代わりて梓を続けんことを乞う。誅求すること四たびを数え、諄諄として已{や}まず。予その言の理あるが為に漫然として之に頷き、まさに余稿を創りて以て銷夏の料に充{あ}てんとす。しかれども宿構あるはなし。偶〃そのある所も皆之を忘れたり。よりて沈吟して構思して、しこうして後に燈油を費やすこと毎夜一二盞、漸く一二升を費やすに至れば則ち、一巻を稿了し、いよいよ費やして斗ばかりに至るの夜、稿し了{おわ}る者すべて五巻。その第五巻の楮数は最も多し。ついに之を釐{さ}きて以て二本と為す。編纂すれば共に六本。手稿は竟に完し、輒{すなわ}ち之を涌泉堂に授け以て梨棗に登らしむ。その書画二工は故{ふる}きによりて出像は則ち柳渓二子の画する所、浄書は乃ち田谷の両筆と之を録す。五六月を閲{へ}て書画尽{ことごと}く成れり。ああ涌泉堂の性は太{はなは}だ急なり。自ら克{よ}く工を促して虚日なし。■厥にリットウ/人の成すを告ぐるに及びて、また予が自序を以て簡端を顔{いろど}らんことを乞う。業は倉卒の際に在り。毫を含みて思いを回{めぐら}す遑{いとま}あらず。即ち便{すなわ}ち本輯のやや久しくして世に出る趣を述べて序に代えて以て、その責めを塞ぐ。

 

文政九年菊月中澣著作堂の雨■片に聰のツクリ/に書す

 

曲亭■虫に覃/史

 

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八犬伝第六輯口絵

 

【画面右には毛野。仕込み杖を持ち片膝立て。着衣模様は花柄。画面左に旦開野。傀儡回しの絡繰り箱を胸に掛けている。胸の機関{からくり}は、謀略を意味する。着衣模様は梅。箱から玉と兎が飛び出している。絵の周りに、馬加鞍弥五・渡部綱平・卜部季六・稲城・玉枕・若党金吉・僕品七・朝谷の村長・畑上語路五郎・若党銀吾・鴎尻の並四郎・粟飯原夢之助・鈴子・戸牧・巨田助友・坂田金平太・向井貞九郎・柚角九念二・千葉自胤】

 

高哉犬坂勇且好謀避冤在胎変生剿仇

 

高きかな、犬阪。勇にして且つ謀を好む。冤を避け胎に在り、変生して仇を剿す

 

犬坂毛野胤智

 

あるをひき傀儡まはしの箱南れや手{た}まはなれたる胸のからくり{試記参照}

 

女田楽旦開野

 

★「変生」からすれば、生まれるべき性を変え仇を討つため男となった、と読める。毛野は女性として生まれるべきであったが、「変生」したのである。

 

     ◆

前略……前編乃口絵ハ八士乃をさなたちを図セしとき聊か思ふよしありて信乃と毛野を女子に画せおきつ。そ乃故は信乃ハ偽女子ニして八士列伝の第一に出さん為也。八犬士乃本伝詳ならすといへとも世に伝る所ハミな丈夫也。女武者は一人もなし……中略……玉梓は淫婦也、後身ハいと猛き牡犬となれり。伏姫は孝義之賢女也、かたち女子といへとも心さま丈夫にまされり。こ乃縁因をもて八犬士を出すときは亦復かく乃ことくなるべし。信乃が男子にして女服を■に見/ひたる、伏姫女子にして丈夫乃気韵あるを表セり。こゝをもて信乃を列伝乃第一におけり。是さし絵ニ女子と見セて男子たるか新案也。この後乃毛野も又偽女子なるへし。これを信乃とは大にその趣をかゆるか又一趣向なり。これは近年よミ本の趣向になき所にして信乃を第一番に出し毛野を八人め乃末に出す。前後、男子にして女子たり、女子にして男子たり。この二士のかたちをもて母伏姫の志操を表セり{犬夷評判記二編稿料早稲田大蔵版/句読点は筆者}。

     ◆

 

信乃の女装は、「伏姫女子にして丈夫乃気韵あるを表セり」。毛野は「信乃とは大にその趣をかゆる」。そして初出の犬士/信乃と{此の段階での構想では}最後に登場する毛野が「男子にして女子たり、女子にして男子たり」すなわち女装することで、「母伏姫の志操を表セり」。「伏姫の志操」とは、家長/里見義実の意思を否定し、道義を貫く志である。手前勝手な変わり身を繰り返し「女はよろづあは/\しくて、三界に家なきもの」と言い訳する玉梓を、自らの実践によって全否定している。八房は玉梓の後身である。美女から牡犬への転換が起きている。雌雄逆転である。そして読本で語った如く、伏姫は金碗八郎孝吉の後身である。男女逆転している。何の不都合もない。傾城水滸伝を書いた馬琴にとって、犬士に美少女が紛れ込んでいても別に構わなかっただろうが、敢えて美少女毛野を美少年に変生させた所に、八郎/伏姫の男女置換を臭わせてもいよう

★枠外に「馬加くら弥五・渡部綱平・占部すゑ六・いなき・たまくら・若党金平・しもべ品七・あさやの村長・畑上語路五郎・若党銀吾・かもめ尻の並四郎・あひ原夢之助・鈴子・戸まき・おほ田助友・坂田金平太・臼井貞九郎・柚角九念二・千葉より胤」

★試記:あら惜しき傀儡まはしの箱南れや玉離れたる胸の絡繰り/第一句は誤写か。口絵で第一句は「あ宇越飛貴/あうをひき」だ。よって「う」と「ひ」が、「ら」と「し」の間違いと考えれば、意味が通じ易い。「宇」のウカンムリが余計で、「飛」が「志{し}」の誤記と見る。「飛」と「志」は、くずし字だと、似ていなくもない。

但し、蓋然性は低いとしても「逢うを退き」「傀儡廻しの箱なれや」「玉離れたる胸の絡繰り」と考え、和歌であるから「傀儡廻しの箱なれや」を「玉離れたる胸の絡繰り」に引かれた飾り言葉と見れば、「逢うを退き」「玉離れたる胸の絡繰り」が中核の文意となる。則ち、【せっかく小文吾と出逢った毛野だが、胸の絡繰り/秘めた企みがあるため、何処へともなく退き離れてしまった】ともなろう。ならば、「逢うを退き」を「合うを引き」に置換して、目的に適合した紐を引き絡繰り箱を作動させた結果、玉が離れた、との情景描写になる。

実のところ、「あら惜しき傀儡廻しの箱なれや玉離れたる胸の絡繰り」は、何となく意味が通りそうだし、言葉の流れとして綺麗だから筆者としては此方を推したいのだが、「何となく意味が通りそう」な割に、意味が通らない。「あら惜しき」が余計なのだ。本文を読み進んでいけば、毛野の復讐は成就する。「胸の絡繰り」が完遂される。そして「玉離れたる胸の絡繰り」は、玉/毛野が他犬士と離れて行動することと、魂離れたる、即ちビックリ魂消るほどの深慮遠謀/企みとを、掛けていよう。歌を素直に訳すると、【あら惜しいことだ、傀儡廻しの箱であったか、胸の前に吊った絡繰り箱から玉が離れてしまったよ】となり、なんだか「胸の絡繰り/企み」が失敗してしまうように聞こえる。しかし毛野が他犬士と合流しない理由は、馬加大記の殺害に飽き足らず、籠山縁連さえも殺すためであった。「玉離れたる」も「胸の絡繰り」の裡なんである。別に惜しくも何ともなく、他犬士と同行しないのは、予定の行動だ。よって、「あら惜しき…」は本文のストーリーに寄り添おうとすれば、「あら惜しいことだ……{と思ったら、なぁんだ、}傀儡廻しの箱だったのか、玉が離れて魂消たが、{なるほど、これも}胸の絡繰り{のうち}か」ぐらいの口語訳とならざるを得ず、なかなかマダルっこしい

★からくり箱から玉が離れている。一時は小文吾と合流するものの、離れていく毛野を表現する。ただ、傀儡からくり箱のオチは、脈絡も何もなく正体不明の怪物/モモンガァ/山猫が飛び出す場面と相場が決まっていようけれども、此処では兎が跳び出している。差し当たっては、玉を兎が追うことを以て【玉兎/月】と見る。月は太陰である。八犬伝に於いて女性は水気/太陰である。玄同放言に於いて馬琴は、日本書紀などで月読尊と表記される月神を、「月夜女」と女性化している。月は太陰であるが故に、女性である方がシックリきたのだろう。此の口絵で馬琴が、毛野を単なる玉とせず、兎を加えて月/玉兎/太陰としているとすれば、毛野は「変生」したからこそ女装男子であるけれども、本質が女性であることを示しているよう思われる{但し其の女性/伏姫の本質は八郎/男性であるとのドグラ・マグラも潜在している}。そうなれば当然、荘介の運命を予言した「玉兎交時当得意恰如枯木再逢春」{第二十回}に於ける「玉兎」は、もう一人の女装犬士/信乃を示すこと明白である。即ち、荘介と玉兎/信乃が交わるとき、荘介は専ら虐げられている状況から脱する。虐げられつつも、愛する者/信乃に尽くす悦びを見出す

 

【片膝立てた粟飯原首胤度が扇を開いている。左手に持つ刀は小篠か。右手から首桶を抱えた馬加大記常武が首胤度の項あたりを見詰めている。右手に持つは落葉か。絵の周りは風景。下部は松並木を要する浜・海、中ごろは山肌で鳥が飛ぶ。上部は雲すなわち空だが山の頂が覗いている】

 

佞似賢者巧惑衆愚■石に武/■石に夫/混玉懼紫奪朱

 

佞にして賢に似たる者は、巧みに衆愚を惑わす。■石に武/■石に夫/と玉を混じ、紫の朱を奪うを懼れる

 

馬加大記常武所図壮年之像也・粟飯原首胤度

 

★論語・陽貨の「悪紫之奪朱」。奸佞な者が評価され、人々が惑わされている。詰まらない者が、まともな者に紛れ込み不当に権を握ることこそ、恐るべきことだ

★絵の周囲に描かれた風景は、中部に始まった山が上部で頂を覗かせていることから頗る高嶺であると判る。富士山であろう

★粟飯原首胤度が開く扇の字が小さく判読し難いが差し当たり「吹おろすしくれきつねのあらしのミおとつれやすき秋の山里/吹き下ろす時雨狐の嵐のみ訪れ安き秋の山里」とでも読んでおく。前項との絡みで「しくれきつね」を「ふしのたかね」と読みたい誘惑に駆られるが、字形が全く違うので断念。此の歌は、新古今和歌集の

「年ごろすみ侍りける女の身まかりにける四十九日はてて、なほ山里にこもりゐてよみ侍りける

左京大夫顕輔

たれもみな花の都に散りはててひとりしぐるる秋の山里」

辺りのココロを取るか。

扇の歌を「吹き下ろす時雨狐の嵐のみおとづれ安き秋の山里」とすれば、かなり興味深い。前提として、胤度が殺されたとき「嵐山」の笛が関わっている。晴れているときの時雨を狐雨{/狐の嫁入り}と云う。秋から冬、高嶺の麓にある里には颪と呼ばれる冷たい強風が吹く。嵐である。誰も訪ねて来ない山里に、時ならぬ雨を伴った颪のみ、気安くおとづれる。言い換えれば、人は決して訪ねてこない。隠れ里である。右京大夫の歌は、「都と親交のあった者は皆死んでしまって、誰も訪れることのない山里で自分独りが時雨に打たれ萎れている」ぐらいだろう。胤度はじめ粟飯原家は、ほぼ皆殺しとなった。残った調布は相模国足柄郡、足柄山の麓、犬坂村に潜んだ。隠れ里である。胤度の扇にある歌は、此の状態を表現したものであろう。犬坂に吹き下ろす嵐とは、富士の高嶺からの颪である。背景に富士が描かれていることも、伊達ではなさそうだ

また、foxyで美形の胤度と狐を重ね合わせれば、政木狐との対称が見えてくる。河鯉如守の妻は、牡狐を罠に掛けて殺し喰った悪僕掛田和奈三を追放し、政木狐に情けをかけた。恩に感じた政木狐は、河鯉孝嗣の乳母に成り代わって養育に当たり、後にも見守り続ける。一方で毛野は、如守から籠山縁連暗殺を依頼されて果たすが、計画を知った道節らが機に乗じて扇谷上杉定正を狙い居城の五十子を陥れたため、如守は、自分の計画が主家への禍を招いたと考え、自殺した。河鯉孝嗣にとって、政木狐/狐龍は、徳川将軍家に繋がることを示す吉兆であったが、毛野は当座の不幸を約束する凶兆であった。元より、政木狐と毛野の根っこは天の理に繋がる一個のものであろうけれども、現象として相反する方向性を見せた

★本文表記で、小篠・落葉の両刀は、何連が小刀か大刀か判然としない。共に犬川家の紋所である雪篠が付く。落葉は、人を斬れば葉が落ちる、との伝承から名付けられたともいう。ゆえに特異な現象を起こさない方が「小篠」であるが、此方は雪篠紋が由来である。共に雪篠紋が付くにも拘わらず一方だけ雪篠紋を名の由来とし且つ「小篠」であるから、恐らく「小篠」が小刀であろう。鎌倉蹇児が落葉で斬り殺されるが、胴体を切断し腕や杖まで斬っているので、まぁ大刀だろうなと思うが、やはり本文表記のみでは確定できない。但し当該場面の第七十九回挿絵で、鎌倉蹇児を斬ろうと馬加蠅六郎郷武が手に掛ける刀/落葉は、大刀である。よって、小篠が小刀、落葉が大刀と考える

 

【たんぽ槍に防具の面をつけ手に持ち座位の籠山逸東太円連。槍術稽古の扮装か。縁連は武術を得意としている。紋は「山」字紋。腕・脛・胸毛もじゃもじゃ。短刀を手にして古い壷を脇に抱える船虫。着衣の模様は毛深い六弁花。絵の周囲は鷹と丸茄子】

 

は芸て来るつふりにはちぬ無分別くさり松魚の人を酔する

 

籠山逸東太縁連・船虫

 

★試記:禿げてくる頭に恥じぬ無分別、腐り鰹の人を酔わする/頭が禿げてくるほどの歳になりながら不相応の無分別、腐った鰹に当たって朦朧となっているのか、理義に蒙くなっている

★前の絵と併せて「一富士・二鷹・三茄子」であるけれども、絵の内容は、栄える悪と滅びゆく善を描き、一見すると、縁起の悪いもの

★船虫の着衣に描かれる花は奇妙な形をしている。六弁花で、花から毛が生えている。縁連も毛深い。歌も「禿げてくる」と毛づくしである。特に船虫の着衣模様が、【毛深い花】である点が興味を惹く。花が五弁であれば、間違いなく、玉梓/唐朱瓜の花と断ずるところである。そして、唐朱瓜には、稀に六弁花も咲くらしい。玉梓/唐朱瓜の花は美しくも不気味だ。夜に咲く。いや、夜咲くだけなら月見草も該当するが、此方は可憐である。唐朱瓜は、夏の日没以降に咲き始めるが、花から触手の如きものを発し、花が開くに伸ばしていく。ついには蜘蛛巣のように自らを覆う。まるで蜜の香りに誘き出された虫を捕らえ喰らう美しい食虫花を思わせる佇まいなのだ

 

【画面右側に、左手に玉を持ち立って振り向く雛衣。足下に髑髏。恐らくは赤岩一角のもの。頭上{ }近くで蝶が三頭、上方に二頭舞い飛んでいる。左手には猫を抑え付けて短刀を手にする大角】

 

■豊に盍/而節操命薄情篤劈身仆讐返璧■ヤマイダレに夾したに土/玉

 

艶にして操を節す。命薄うして情は篤し。身を劈{つんざ}き讐を仆{たお}す。{返壁に}壁を返し、玉を埋む

 

節婦雛衣

 

露を玉とあさむくとてもはちすさく水沼におとしいれら礼はせし

 

犬村大角礼儀小字角太郎

 

★「返璧埋玉」の書き下しは難しい。返璧は、地名のタマガエシと【璧を返す】二重の意味を持たされているようだ。【返璧に玉を埋む】と書き下せば、雛衣が礼玉を呑み込んだ場面で終わってしまう。それでは評にならぬから、意地でも玉を【返す】所まで引っ張らなければならない。引っ張ると、今度は【返す】所で止まらず、【玉を埋む】ことになってしまう。礼玉を返した後に埋めるものは、是、雛衣の遺体だ。「璧」は玉だが、「玉」は璧より意味が広く、璧の方が玉より格上の印象もある。此処では璧を礼玉、玉は万物の美称と解して雛衣そのものを指すと考える。原文が四言絶句であるとの形式から考えても、転句と結句は対語、対称形であるべきだから、「劈身仆讐/身を劈き讐を仆す」に対応するためには、「壁を返し玉を埋む」と考えた方が素直だろう

★枠外に「山の神・土地の神・ヤツ党東太七編に出つ・キツ足ハツ太郎七へんに出つ・犬村かもりのり清・ひやう六・犬村かもりが妻・行徳の古那屋の隣人・しもへはか内七編に出づ・一角が後妻まど井・角太郎か実母まさか・もす平・スダマ・とくろの洞の冤鬼・胎内くぐりの妖怪・若たう尾江内七編に出づ・玉坂飛伴太七編に出つ・月蓑団吾七編に出つ」

★試記:露を玉と欺くとても蓮咲く水沼に陥れられはせじ/此処では変態……変体仮名を原字ではなく平仮名で表記することを原則としたが、此の句の場合は礼玉・大角の評であるので故意に「れ」とすべきを「礼」とした。他意はない。「蓮咲く水沼」は、蓮は美しい花であり仏教もしくは如来を象徴していると考えられるので、見た目美しく優しそうだが実はドロドロの深い沼で落ちたら命まで奪われる、ぐらいに解しておく。上の句は、実体がないわけではないが儚い露を高貴な玉だと欺く如く、外見だけ似た偽一角およびオタメゴカシ船虫の虚偽を、最後には見抜くことを歌っている

★一角の髑髏に蝶が舞い集まっている。髑髏から鬼火のようなものが出ているので、幽鬼となって出てくるところか。蝶は、彼岸と此岸を行き来するものである。八犬伝の口絵・挿絵では、彼岸から何者かが出てくるに当たって、蝶が現れる

 

 

 

坊賈之捷利、素其所也。而猶有甚焉者、若拙著常世物語、三国一夜物語二書、其刻版係于丙寅之燬、或為烏有、或亡其半。曩一賈豎、補刻常語之闕。又翻刻一夜語。然不告諸予乞校訂、擅改易常語書名及出像、而令是如新著。是以多不与旧本同。加之、其文誤衍亦多、拙劣不遑毛挙也。初予不知之。客歳涌泉堂、購得常語補刻之梓、而乞予校訂。於是、予駭嘆久之、無所漏憤。譬如汚衣之油。屡〃洗乃耗本色、■シンニョウに台/今、又莫奈之何。且也一夜語翻刻、雖未得見新刷、而推思之、則亦不与旧版同、可知也。顧廿余年前戯墨、吾豈敢懸念耶。但見売名之憾、不得無言也。因贅数行於簡端余楮。

 

曲亭主人再識

 

坊賈の利に捷{さと}きは、素{もと}よりその所。しかるもなお甚だしきあり。拙著の常世物語三国一夜物語の二書のごとき、その刻版は丙寅の燬に係りて、あるいは烏有となり、あるいはその半を亡{う}せり。さきに一賈豎は常語の闕{か}けたるを補刻し、また一夜語を翻刻す。しかれども諸を予には告げず校訂を乞わず。擅{ほしいまま}に常語の書名および出像を改め易{か}えて、是をして新著のごとくならしむ。是を以て多く旧本と同じからず。之に加えるに、その文は誤衍また多し。拙劣たること毛挙に遑あらず。はじめ予は之を知らず。客{さる}歳に涌泉堂が常語の補刻の梓を購い得て、予に校訂を乞う。是において予は駭嘆すること久しうして、憤りを漏らす所なし。譬えば衣を汚す油のごとし。屡〃洗えば乃ち、本色を耗{おと}す。今に至りて之をいかんともするすべなし。かつ一夜語の翻刻は、いまだ新刷を見ることを得ざるといえども、しかれども推して之を思えば則ち、また旧版と同じからざるを知るべし。顧うに廿余年前の戯墨、吾あにあえて懸念せんとするや。ただし名を売らるるを見るの憾、言なきことを得ず。よりて数行を簡端の余楮に贅す。

 

曲亭主人再び識す

 

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第五十一回

 

「兵■豚のツクリ二つの下に火/山を焼て五彦を走らす鬼燐馬を助て両孀を導く」

 

【炎のなか、曳手・単節を載せて疾駆する馬。野武士の凶弾は命中するが、二つの鬼火が馬に近付いている】

 

落人を奇貨として野武士等放馬を撃つ

 

小文吾・野武士・野武士・野武士・ひく手・ひとよ

 

★尺八・力二郎の冤鬼が登場する荒芽山は、半ば幽界であった。荒芽山の段が終わる此の場面で、馬が蘇生し曳手・単節を富山へと連れて行く。犬士たちはリアルな現実世界に引き戻されるが、曳手・単節は尺八・力二郎の霊に導かれ、更に富山という幽界へと旅する

 

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第五十二回

 

「高屋畷に悌順野豬を搏にす朝谷村に船虫古管を贈る」

 

【小文吾より大きい体長二メートルを超すかという猪が仰向けで血の海に倒れている。腕組みした小文吾が喉元を踏みつけている。猪の尻の辺りに笠と包みが置いてある。小文吾の背後は、石仏予定地か。台座と蓮華座が見えるが、肝腎の石仏が見えない。作りかけか。右上に小さく、並四郎が猪に突き飛ばされている図】

 

並四郎が短鎗何ぞ小文吾が一拳に及ざる事を知らん

 

なみ四郎・小文吾

 

★作りかけの石仏は、八犬伝物語が目指す理想的空間が完成していないことを示すか。世界はいまだ闇に覆われ、殺伐としている

 

【暗い部屋、切り落とした蚊帳の上で首を飛ばされる並四郎。小文吾が血刀を振り上げている。行灯を手にした船虫が駆け付ける。船虫の着衣は雲模様。裾から覗く脛も若々しく、顔は於兎子に似ている】

 

残賊空衾を刺て立地に元をうしなふ

 

小文吾・船むし

 

★第五十五回の描写などから、嵐山の笛、小篠・落葉の名刀を奪った犯人は、船虫・並四郎と思料される。かなり見事な手際であった。しかし此の場で並四郎は、かなり腕が落ちている。別人としか思えない。長時間に亘り、過敏なほど慎重に小文吾の様子を窺っていたのだが、その間に小文吾は、夜着に詰め物をして寝ているように見せかけ、蚊帳から出てさえいる。手近にあった刀を抱き込むぐらいなら、まだしも、大兵肥満の小文吾が、これだけ大きな動作をするのだから、せいぜい八畳や十畳程度の部屋の外から、如何して気がつかなかったのか不思議である。ややリアリティーに欠けるか。ただ、此の挿絵の船虫は、なかなかボーイッシュでソソる

 

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第五十三回

 

「畑上謬て犬田を捕ふ馬加竊に船虫を奪ふ」

 

【後ろ手に縛られつつも魚切包丁を手にした船虫を踏み据える小文吾。組子二人が小文吾の背後に立つ。着衣は井桁。船虫は雲。畑上語路五郎はゴロゴロらしく羽織に雷文、袴は雲模様。画面奥に一隊を率いた千葉自胤】

 

両手を束縛せられて小文吾船虫を蹶挫ぐ

 

小文吾・船虫・畑上語路五郎・より胤

 

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第五十四回

 

「常武疑て一犬士を囚ふ品七漫に奸臣を話説す」

 

【馬加家の座敷。上座に大記常武、背景に太刀取り小姓。小文吾の脇に毛深い坂田金平太。着衣は「金」字紋に雲模様。背後に柚角九念次。着衣は雲模様。卜部季六は絣を着用。臼井貞九郎は蕪。髭面の渡部綱平の着衣には亀様のもの】

 

小文吾抑留せられて常武に謁す

 

柚角九念次・坂田金平太・小文吾・卜部季六・臼井貞九郎・渡部綱平・馬加常武

 

【粟飯原胤度暗殺現場。雑兵を抑え付けた胤度が縁連に背を切られている。胤度の着衣は雲模様、縁連は繋ぎ雷文で袴に牡丹か。脇で銀吾が倒れ、金吉が駆け付けようとしている。背後で乱戦。馬と小者二人が逃げ去っている。右上に男女の「くせもの」。空に下旬の月】

 

品七が昔物語粟飯原首胤度讒死の処この本文ハ三の巻にあらハす看官よろしく合せ見るべし

 

くせもの・くせもの・あひ原おひと・こミ山逸東太・槍もち津久兵衛・若たう金吉・若たう銀吾

 

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第五十五回

 

「馬大記賺言して道に籠山を窮せしむ粟飯原滅族せられて里に犬坂を遺す」

 

【粟飯原家の惨劇。粟飯原夢之助が切腹、稲城が自ら首を突いている。刺されて血を噴き出す玉枕を二人して見詰めている。いまだ介錯せず。馬加大記が実検。上下、袴とも雲模様】

 

品七が昔物かたり粟飯原胤度が家族死を賜ふところ

 

馬加大記・むすめたまくら・いなき・あひ原夢の介

 

★余りにも酷い場面だが、幕と刑吏の着衣に千葉家の紋である月星が大きく描かれている。馬加大記の着衣の雲模様は、まるで鱗。何だか介錯人らの月星紋が蛇の目に見えてくる。読本で論じた如く、粟飯原家は千葉一族であり、就中、妙見信仰と深く関わっている。毛野が試用する紋所は月星である。同じく千葉一族で月星紋を使う馬加家が鱗類であるならば、当然、毛野も鱗類である。元より彼女は水気/太陰/北方の女神でもある。北方の玄武は亀と蛇が結合した形だ。鱗類の長は龍である

 

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第五十六回

 

「朝闢開野歌舞して暗に釵児を遺す小文吾諷諌して高く舟水を論ず」

 

【馬加一家の宴席風景。御囃は美少女揃い。後ろ姿で顔が見えない旦開野も、さぞやと思われる。美少女であることは本文で諒解すべきであって、秘してこその花、か。見る迄もない。旦開野の引き締まった柳の腰付きが素晴らしい。何と云っても着衣の模様は菊花であり、帯も菊水であるから、爛れるほどに乱れ咲く菊花に象徴さるべき美少女/美少年である。旦開野へのライトは高さ約一メートルの所から水平に当てられており、しかも前髪姿の小姓が燭台を差し出し正面下方に補助光を設定している。下からの補助光は女性ポートレートを撮る場合の基本技術である。弥が上にも美しく照らし出された旦開野であるが、小文吾は詰まらなそうな表情だ】

 

女楽を聚合て常武小文吾をもてなす

 

小文吾・卜部すゑ六・すずこ・戸まき・つねたけ・あさけ野・くら弥吾

 

★第五十五回挿絵、毛野の家族が死ぬ場面で千葉家の月星紋が強調されていたが、今回の宴席に侍る馬加大記の妻の着衣にも月星紋が見える。小文吾と大記の間に置かれた重箱にも、月星紋があしらわれている。八犬伝の設定では大記も元は千葉庶流だから月星紋を使っていても、さほどは不思議ではない。しかし此処では、主家に憚らず乗っ取りを謀る大記の下心を示していると見ておく。それより筆者は旦開野の細くしなやかな腰つきが気になる。菊で象徴さるべき彼女は、ヒップが御自慢らしい

★後ろ姿だけで堪えきれないほど魅力的な美少女毛野に対し、小文吾の詰まらなそうな表情は、大不敬に当たろう。美は崇拝されねばならぬ。よい年になっても前髪を落とさなかった所から、小文吾には男色{受け}容疑が濃厚であるが、其れゆえ美少女には興味を持てないのか

 

【いきなり庭に転落してきた卜部季六。着衣は黒ずくめだが上着が繋ぎ雷文。縁に立つ小文吾は井桁の絣。手にする太刀は、小文吾の身長から推して四尺はある。空には雲に隠れようとする満月】

 

桃花の釵児よく刺客を撃殺す

 

小文吾・すゑ六

 

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第五十七回

 

「対牛楼に毛野讐を鏖にす墨田河に文吾船を逐ふ」

 

【対牛楼の大虐殺。上層で毛野は血を噴き出す渡部綱平を足蹴にしている。馬加鞍弥吾は片膝立てだが、まさに倒れようとしている。頭部を斬られている。常武は既に首を落とされている。下層で毛野は刀を振り上げた影が障子に映るのみ。坂田金平太が槍を突き出している。血塗れの戸牧は瀕死の状態、鈴子は血を流して俯せに倒れている。縁で臼井貞九郎が倒れている。空には朧な満月】

 

対牛楼に毛野讐をみなころしにす

 

犬坂毛野・つな平・くら弥吾・馬加常たけ・貞九郎・九念次・毛野・戸まき・すずこ・金平太

 

【隅田川。船頭を踏みつけ艪を漕ぐ毛野。遅れて三人乗り組みの船。俵を運んでいる。精悍な横顔を見せた小文吾が毛野を追って泳ぐ。鳥が正面から低空飛行で小文吾に向かっている。東雲に鳥が舞い飛ぶ】

 

船を逐ふて小文吾旧故に邂逅す

 

毛野・小文吾

 

★妙にスリムな小文吾の精悍な横顔は、毛野への想いを語って余りある。情熱的な念者の目だ。こういった場面で小文吾が肥満体だと、まぁ愛らしくはあるが、ちょっと似合わないかも

 

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第五十八回

 

「窮阨初て解て転故人に遭ふ老実主家を続て旧憂を報」

 

【犬江屋の座敷。上座に据えられた小文吾は、まるで大仏の様な恰好。前に置かれた鉢には菓子らしきものを盛る。依介の手に「犬」字の扇。次の間に水澪。縁の水盤に生けてあるは菖蒲か。川岸に蟹が横ばい】

 

市川の宿に依介小文吾を管待す

 

附記つけてしるす

 

是よりして下第五の巻の終りまで渓斎英泉画

 

みを・依介・小文吾

 

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第五十九回

 

「京鎌倉に二犬士四友を憶念す下毛州赤岩庚申山の紀事」

 

【下野国真壁郡網苧、鵙平の茶店。壁に鉄砲一丁。弓弦も掛ける。弓矢を売っている。店先の木に売り物らしい草鞋を束ねて吊る。鵙平は湯を沸かしながら何か話している。縁台に腰掛けた現八が湯呑みを手に鵙平の話を聞いている。胴に「犬」字紋。背景では馬の背に藁を積んで運ぶ男、稲刈り作業の二人、盥に湯呑みを並べて運ぶ女、亀に紐を付けて牽く子ども。田には案山子、鴨様の鳥。空には雀】

 

網苧の茶店に現八鵙平が旧話を聞く

 

もず平・犬飼現八

 

★現八の「犬」字紋は初出。背景の長閑な農村風景は、風俗画となっている。亀に紐を付けて引く童が愛らしい。ところで、「和漢三才図会」巻第四十三林禽類に記された鵙の条を引用する。「クウクウと鳴く。俗に、この姑苦とも聞こえる鳴き声により、姑に苦しめられて死んだ女性が、化したものとされている」。雛衣が姑・船虫に虐待されていることを語る人物の名として「鵙」平は相応しい。また、「礼記」月令でも、鵙は火気が旺ずることを告げる鳥であり、火気の犬士・大角が偽の父親と義母・船虫の抑圧を跳ね除けて自由の身となることの予兆となる男の名としても、「鵙」平は相応しい

 

【庚申山の図】

 

諌を拒で一角庚申山第二の石橋を渡る図

 

ヒラ岩・東ノツマ・カマ石・ナギクダリ・胎内クゞリ・二王石・オクノ院・ダイ石・宝蔵石・二王石・石橋・ヒキタシ石・赤岩一角・石橋・櫓石・一ノ門・ウラ見ノ滝・ツリカネ石・二ノ門・モンジ石・トウロウ石{画面右から}

 

★兎園小説と、ほぼ同様の図

 

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第六十回

 

「胎内■アナカンムリに賣/に現八妖怪を射る申山の窟に冤鬼髑髏を託ぬ」

 

【山中の石窟前で猫が落馬。猫の顔から光が放射している。二人の従者が助けようとしている。木の上に矢を放った後の現八。馬の上に短刀を握った幽霊】

 

妖怪を射て現八冤鬼に逢ふ

 

犬飼現八

 

★如何でも良いが、現八の烏眼が小さすぎて猫みたく見える

 

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第六十一回

 

「柴門を敲きて雛衣冤■キヘンに王/を訴ふ故事を弁じて礼儀薄命を告ぐ」

 

【松の細枝を加えて無言の行に没入する大角。御高祖頭巾の雛衣が折戸を敲く。腕組みした現八が様子を窺う。胴に「犬」字紋、着衣に犬の模様】

 

返璧の柴の戸に現八雛衣が怨言を竊聞す

 

現八・ひなきぬ・犬村角太郎

 

★やはり中央土気の現八は、犬の中の犬か

 

【大角の庵に駕籠で乗り付けた船虫。角隠し様のものを被っている。同行した赤縄新田の永六は揉み手。庵の縁に座る大角と立っている現八。現八は旅装を解いていない。背景の田に休む鳥は鶴か】

 

船虫奸計犬村が閑居を訪ふ

 

現八・角太郎・船むし・赤縄しん田の氷六

 

★氷六は、月下氷人を元としているのだろうが、余りにも心許ない。第五十九回の挿絵で何故だか亀が登場していたが、今回は田で鶴が遊んでいる。ちなみに近世の黄表紙など大衆文学は、お年玉のように袋に詰められ正月に発行されたりした。本自体が縁起物、とまでは言わないが、目出度いものを挿絵に潜ませたのは、挿絵に慣れた絵師の遊び心か。今回描かれている鶴は番ツガイの  ようなので、一旦は悲劇に終わる雛衣の愛が実は朽ちず、里見の姫の姿を借りて再び大角と結ばれる縁の深さを暗示しているか

 

 
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